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第6回 グランシップ 静岡能 観世流 を見て

更新日時2011.03.23

去る1月23日、グランシップ静岡能を観ました。お能を観るのはずいぶん久しぶりです。

観るきっかけになったのは、昨年夏、グランシップでの学生インターンシップの講師を務めたことから、9月に行われた能楽入門公演に稽古も含めて立ち合ったからです。グランシップでは毎年、静岡大学の学生を中心にインターンシップ(現場実習)を行っていますが、今年度は能楽入門公演に伴う一連の事業(小中学生から一般市民までが参加する「わくわく能楽教室」から公演本番まで)の運営に関わることで、お能という伝統芸能の独特の世界を学んでもらうとともに、文化施設(グランシップ)の事業、文化財団の仕事の一端を知ってもらうことを目的にしています。

私は、今は富山大学の芸術文化学部で教えていますが、5年前までは静岡文化芸術大学でアートマネジメント教育を担当していました。静岡文化芸術大学では創立2年目の2001年から毎年、校庭で薪能を学生たちが準備・運営する形で行っています。私も最初の何回かは学生たちの相談相手になって関わりましたが、こうした日本の伝統的な文化事業のマネジメントは初めてでずいぶん戸惑うことも度々でした。例えば、能舞台一つとっても一般的なステージとはまったくといっていいほど異なりますし、また独特の用語、作法、道具など、さらに実際の公演においてはいわゆるリハーサルも無ければ、舞台監督もいない。演者担当の学生など、今にも泣きそうな顔をして頑張っていたのを思い出します。

グランシップの能楽入門公演では、薪能の時とは違ってまた珍しい貴重な経験もしました。一つは小中学生が参加するワークショップ(「わくわく能楽教室」)で、9月の公演の時には第一部として参加者による謡と仕舞の発表もあり、微笑ましい思いをしました。もう一つは、これは1月の静岡能もありましたが、演者(山階彌右衛門)によるお話(解説)があり、さらに舞台で装束の着付けまで見せていただいたことです。お能というと、何か堅苦しいといったイメージがありますが、子どもたちの発表会、それに解説や装束着付など、ぐっと能楽が身近に感じた人も多かったのではないかと思いました。

さて、1月の静岡能に話を戻します。今年のお能は「鬼」がテーマになっていて、演目は「藤戸」と「紅葉狩」、他に狂言の「雷」、それに仕舞「鉄輪」と、まさに鬼づくしのプログラムでした。最後に演じられた「紅葉狩」は登場人物も多く、作り物は立派で、非常に華やかで堪能できましたが、個人的には「藤戸」の方に感じるものがありました。「藤戸」は平家物語に題材をとった世阿弥の作品ですが、手柄をたてようとした武士が漁師に川渡りの場所を聞き出したあと、口封じに殺してしまうという話を複式夢幻能にしたものです。現在も世界の何処かで同じようなことが行われえているという思いが募り、悲しさの中にも感動を覚えた次第です。

プロフィール

伊藤裕夫 富山大学教授
芸術文化学部で文化政策やアートマネジメントを担当。最近興味があることは、文化政策という観点から、日本の文化史を捉え直してみたく、もう一度日本史の勉強をしようと思っている。

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