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第15回 第8回浜松国際ピアノコンクールをきいて

更新日時2012.12.18

浜松国際ピアノコンクールは、1991年に浜松市制80周年を記念して、楽器と音楽のまちとしての歴史と伝統を誇るにふさわしい国際的文化事業としてスタートした。3年に一度開かれるこのコンクールは回を重ねて今年で8回目を迎え、世界各国から参加者が集う。このコンクールを契機にさらに世界へ羽ばたいていったピアニストも多い。

今回は、288名の応募から予備審査を通過して92名が第1次予選に臨んだ(辞退者が出たことにより実際に舞台にあがったのは73名)。さらに第2次予選は24名、第3次予選は12名と少しずつ絞り込まれ、本選へ進んだのは6名。それぞれ、第1次予選は20分以内、第2次予選は40分以内、第3次予選は70分以内でプログラムを構成し、本選ではピアノ協奏曲を演奏した。各予選とも大枠で課題はあるものの(例えば第1次予選ではバッハの平均律より1曲、古典派のソナタの第1楽章、ロマン派の作品から1曲の計3曲)、出場者によって実にさまざまで、非常に興味深く、思わずコンクールであることを忘れてしまいそうになるほどであった。

今回のコンクールがこれまでと大きく違うのは、第3次予選でピアノ四重奏曲が課題曲として取り上げられたことである。近年、コンクールで室内楽曲が課されることが増えているそうだ。音楽を奏するうえでは何よりよく音を聴くことが求められる。相手がいるときにはなおさらであろう。ピアニストは一人で演奏することが多いため、自己の世界に浸ってややもすると二の次になってしまうこともあるそのことを、時に同調し、時に主張し、時に譲りながら相手との対話によって音楽を作り出していくアンサンブルにおいては必然的に意識することになり、基本に立ち返らせてくれる。そして相手と一緒に音楽を紡ぎ出していく楽しさはアンサンブルならではであろう。コンクールである以上、また、第一線で活躍している演奏家との共演である以上、緊張が強いられるのは間違いないが、そんな中にも楽しんでいる様子が垣間見られ、聴いているこちらも嬉しいひとときだった。

芸術は競争ではないとはよく言われるが、コンクールという性質上、そこには結果として順位が伴う。けれど、それは一過性のものでしかない。一喜一憂する必要はなく、むしろ彼らの今後はこれからにかかっている。コンクールを聴いた一人として、さらなる飛躍を願うばかりだ。

コンクールは、出場者にとって勉強の場であると同時に、聴き手にとっても未来のアーティストと逢えるすてきなところだと思う。残念ながら今回はコンクールの一部を聴けたにすぎなかったが、次回はどのような新しい才能と出逢えるのか、今から楽しみである。

第8回浜松ピアノコンクール 公式ホームページ http://www.hipic.jp/

プロフィール

関本淑乃
名古屋市立菊里高等学校、愛知県立芸術大学卒業。愛知芸術文化センター・愛知県文化情報センターを経て、2011年4月より静岡音楽館AOI学芸員。

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