ささえる、つなげる、創造する ふじのくに文化情報センター

ホーム > カルチャーレビュー > あれから、3年。私たちが今、できること。

第18回 あれから、3年。私たちが今、できること。

更新日時2014.03.27

あの3月11日から、もう3年が経ちました。東日本大震災からの3年が「もう」なのか、「まだ」なのか。人によって、3年の重みはさまざまです。3月11日までの1週間は、各メディアも盛んに特集を組んで、「忘れない」を連呼していました。あの当時、静岡県に暮らす私も含めて多くの人が、被害を受けた人達や地域に対して何ができるだろう、と自問自答し、さまざまな行動をとりました。しかし、身近に被害に遭われた方がいない場合、おおかたは3年の間に遠い過去の出来事のような、そんな錯覚を抱いてしまったのではないでしょうか。

阪神淡路大震災のときも、早期復興を目指した結果、神戸や大阪ではそんな災害があったことすら感じさせないほどのめざましい発展もありました。鎮魂と復興を願って始まった年末のイルミネーションは、今ではクリスマスの風物詩となりました。

現在、静岡県も含めて最も人々の注目を集めているのは、これから起こると予想される東海地震・南海地震への防災・減災対策です。東日本大震災の教訓が、今後の大災害に活かされなければいけません。しかし、今も避難生活を余儀なくされている20万人以上の人達がいることも忘れてはなりません。

グランシップで開催されている「ぼくたちの3年?写真展『生きる』から見えるもの?」を見に行きました。写真展なので、津波が襲ってくる様子、津波が去ったあとの瓦礫の山、仮設住宅の風景などの写真が掲げられているのだと想像していました。

しかし!会場には大人のそういう迫力ある写真とともに、子ども達が撮った写真も並べられていました。これは、「キッズフォトジャーナル」という33人の子ども達による日常生活の写真群です。もちろん、子ども達の中には親や兄弟、祖父母、親戚、友達が津波で命を落とした子もいます。避難生活のために、幼なじみや親友と離ればなれに暮らさなければならなくなった子もいます。受けた心の傷は、はかりしれないものがあると思います。

ところが、彼らの撮った写真のなんと淡々としていることか!悲惨さがみじんも感じられないのです。そういう心の傷を隠しているのかもしれません。頑張っているのかもしれません。インタビューをして、相手の心を開いてから写真を撮っている子。幼なじみとキャンプで久しぶりに会って、クリスマスの記念写真を撮っている子。ひとりひとりが、自分が何を撮りたいのか、どうして撮りたいのか。きちんと説明をしています。写真にはそれぞれ彼らの言葉でキャブションが添えられています。

グランシップのこの企画は、もう一つ副題があります。「そして、つながる。?文化・劇場が持つチカラ?」。「忘れない」は「つながる」ことでもあります。多くの人達が支援をしたい、レスキューをしたい、と思いつつも踏み込めない。つまり、きっかけがないからです。

どうか、この子ども達の写真を見に来てください。何度も泣きたくなると思います。でも、とても心を打ちます。できれば、家族で見に来てください。会場に来ることが「つながる」ことなのです。

(2014.3.24)

プロフィール

松田香代子(まつだかよこ)愛知大学非常勤講師
静岡市(旧清水市)出身。静岡県史編さん室嘱託を経て、県史自然災害誌調査員のほか、裾野市史など県内外の自治体史の調査員として編纂事業に関わる。専門は日本民俗学。災害と民俗の関わりについてはライフワークにしている。しずおかの文化新書『千年に一度の大地震・大津波に備える』を共同執筆。

戻る
文化芸術の総合相談窓口

ふじのくに文化情報への現在の登録件数

文化団体
275
アーティスト
73
文化施設
203
個人
73

登録はこちら

ご利用ガイド

  • グランシップ
  • アトリエふじのくに
  • ふじのくにささえるチカラ
  • ふじのくに文化資源データベース
  • しずおかイーブックス

ふじのくに文化情報への登録はこちらから

静岡県文化情報総合サイト「ふじのくに文化情報」に、ご登録いただきますと、様々な形式での情報発信が可能となります。
詳しくはご利用ガイドをご覧ください。