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第25回 遠州横須賀街道ちっちゃな文化展を楽しむ

更新日時2015.11.17

去る10月17日(土)、掛川市・大日本報徳社大講堂で「第13回文化財を守る―地域創生と歴史文化遺産・博物館―」シンポジウムが開催された。このシンポジウムは静岡県教育委員会、伊豆屋伝八文化振興財団などが文化財の保存と活用についての様々な試みを紹介し、将来の展望を図ろうというものであった。「松本まるごと博物館の経緯と現状」は窪田雅之氏(松本市立博物館館長)、「大日本報徳社の文化財と報徳思想」は榛村純一氏(大日本報徳社社長、元掛川市長)から報告していただき、そのあと杉山幸一氏(遠州横須賀倶楽部若年寄)にも「ちっちゃな文化展と清水邸の保存について」コメントいただいた。

シンポジウムには地域創生という副題が付いているが、文化財を地域の活性化に役立たせたいという動きが各地であり、その活発な活動事例を紹介したいというものであった。筆者自身は、この地域活性化に文化財を活用しようという活動に関心があり、これまで様々な事例を見てきた。三浦半島まるごと博物館、エコミュージアム金目まるごと博物館(いずれも神奈川県)など枚挙にいとまがないほどである。これらの動きは1960年代後半、フランスのリヴィエール氏が提唱したエコミュージアムの構想に基づいている。簡単にいえば、これまでの博物館が建物内で展示して活動するのに対しエコミュージアムは地域全体を博物館ととらえ、本館とサテライトを結びすべての住民参加によって地域全体をまるごと博物館ととらえる考え方である。

前述したシンポジウムの1週間後の10月23日(金)から25日(日)に掛川市大須賀で開催された「遠州横須賀街道ちっちゃな文化展―町並みと美の晴れ舞台―」も地域全体を美術館としてとらえ、街道沿いの家を展示室として各作家が作品を展示するものである。70以上の展示会場、作家数は100人以上に上る。展示会場の範囲は街道沿いとは言いながら2キロほどの距離になるであろうか。このような広範囲を展示会場とする試みは近年ますます盛んになって来ている。いま生きている現代作家は作品発表の場所が確保され、地域にとっては作品鑑賞に訪れる来訪者によって地域が活性化するという両者の思惑が合致して成り立っている。

発表する側からすれば、自分の作品を見た人々の意見をその場で聞け、交流することが楽しみであるということもあろう。私自身も出品者の十数人を知っており話をする楽しい時間を過ごすことができた。

ちっちゃな文化展を見ながらフランスでワイングラスを片手に村中を歩いてできたてのワインを楽しんでいるのをテレビで見たことを思い出した。アートとワインも景観を楽しみながら目と舌も楽しむ、同じような感じがした。

また、たくさんの協賛イベントを見て、日本の各地で見られた秋祭りと同じではないかという印象ももった。秋祭りには収穫の喜びと感謝というものがあったのであろうが、地域に対する認識を新たにし様々な交流の機会となったことは確かであろう。横須賀街道を歩いて「ちっちゃな文化展」が3~4万人もの人々が楽しむ秋祭りとなり、17回続いた力は会場主、作家、来場者、協力者などの絆であるというチラシのコメントをよく理解できた。

            

プロフィール

日比野秀男(ひびのひでお)
常葉大学名誉教授・掛川市ステンドグラス美術館館長
島田市出身。慶応義塾大学大学院修士課程修了。博士(美学)。
静岡県教育委員会、静岡県立美術館、常葉大学などを経て、現在に至る。
日本美術史、博物館学専攻。
著書は『渡辺崋山―秘められた海防思想』『美術館学芸員という仕事』『伊豆の長八』など。

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