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第26回 「第3回国際陶芸フェスティバルinささま」を訪ねて

更新日時2015.12.24

平成27年11月20日(金)にオープニングセレモニーを経て、11月21日(土)から翌22日(日)にかけて島田市川根町笹間で「第3回国際陶芸フェスティバルinささま」が開催された。
山間部地域において、「アート」・「文化」という視点から地域の資源を創造・発信して交流を深めることを目的として、平成23年に第1回国際陶芸フェスティバルが開催されて以来、2年に1回開催している。このフェスティバルの特徴は、地域の基幹産業である「茶」に因んで「陶芸」というアートを活用した文化振興、海外からの招待作家や自主参加によるセレクション作家を招いての陶芸ファンや市民との国際交流等多彩な催しが展開されることだ。その一環として、フェスティバル前から、作家を招聘しての「アートインレジデンスや海外招待作家のホームステイを通して、日本の地域文化を肌で感じてもらう事も行われている。

伝統的に陶芸が行われてきたわけでもない笹間で、国際陶芸フェスティバルが開催されるのは、愛知県瀬戸市在住の陶芸家道川省三氏が、笹間を訪れて、地域の人々と将来について語り合った際、ロンドンに近い小さな村で行われていたイベントを参考にして、陶芸フェスティバル開催を提案し、受け入れられたことが契機となった。
国際陶芸フェスティバル実行委員会の一人は「夢のような話を容易に受けすぎてしまった感はあったが、それが現実化した今、我々の作品が少しずつ形になりつつあると感じている。大変なことは多いが、やって良かったと思う。」と語っていた。

11月21日(土)に「うらっち美術館」と称するフェスティバル会場を訪れた。「うらっち」は自分を「うら」、我が家を「うらんち」と呼ぶ笹間の方言に由来する造語で、「うらっち美術館」は私たちの美術館、みんなの美術館として、訪れた人も参加する人もすべての人に楽しんでもらいたいという想いが込められている。
旧笹間小学校跡を利用した「山村都市交流センターささま」をメイン会場に、民家を陶芸作品の展示・販売会場として開放、作品の野外展示、陶器や地場産品の販売、お茶カフェでは煎茶や抹茶を味わいながら石臼によるお茶引き体験、絵付けや木工、楽焼きの体験、製茶工場で志戸呂焼やフェスティバルに参加しているアーティストたちの作品でお茶を楽しむなど、自然と芸術、里山の風景が矛盾することなく一体化しているような不思議な空間が広がっていた。その中で招待作家たちも単に自分の作品を展示するだけではなく、ワークショップやスライドレクチャーにより、自分の技術をふんだんに披露するなど、参加者や来場者と積極的に交流していて、手づくりのエコミュージアムといえるだろう。

人口500人に満たず、素朴な山里という印象が強かった笹間だが、様々な国の人々が鑑賞、買い物、散策、体験、写真撮影、会話などを思い思いに楽しみつつ、作家と来場者と地域の人々が自然体で交流する光景は「アート」とも「フェスティバル」とも異なる趣を帯びた「うらっち」な時が流れていると感じた。
国際陶芸フェスティバルが契機となって、笹間地区での陶芸体験に挑戦する等、地域住民が主体となった新たな動きも芽生えている。この芽がどのような花を咲かせるか、その期待も込めて「第4回国際陶芸フェスティバル」にも是非足を運びたい。

            

プロフィール

朝比奈太郎(あさひなたろう)
島田市博物館主任学芸員。
静岡市出身。佛教大学大学院博士課程前期修了。歴史地理学専攻。

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