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第5回 ファンドレイジングから見えること その1

更新日時2015.08.24

アートマネージメントという言葉が市民権を得た1990年代初め、同時に芸術文化の世界でもファンドレイジング(資金調達)という言葉がよく使われるようになりました。日本では、アートマネージメントというと芸術と社会の橋渡し役といった漠然とした意味合いで語られることが多いのですが、アートマネージメント発祥の地米国では、その言葉どおり「芸術(団体)」の「経営」をいうのであり、一般企業と同様に、商品開発から人事、財務、マーケティングといった経営全般を学ぶ学問として捉えています。ただし、一般企業と違って特異なのは、扱う商品が音楽、演劇、ダンスといった価値判断の難しい“芸術というシロモノ”であり、しかも実用性に乏しく、構造的に不採算な(例えばチケット収入だけでは事業費が賄えない)性質を有しているということにあります。事業費に見合うだけの事業収入が得られないといった致命的な課題を解決するのがファンドレイジングであり、この活動を成功させるための手法を会得し、実践するのがアートマネージメントの主要部分だと言っても過言ではないでしょう。

本コラムは、「お役立ち情報」のコラムなので、ファンドレイジング先進国米国のオーケストラの具体的事例を取り上げて、各分野で活躍中の読者の皆さんに参考にしてもらえるよう、また肩の張らないコラムとして、ファンドレイジングの実際とその活動から見えてくる様々な事柄について書き綴っていきたいと思います。

結論から先に言ってしまえば、ファンドレイジング活動は、単なるお金集めといった経済活動ではなく、その活動によって芸術や芸術団体に対する理解者を増やし、その裾野を広げていく大きな原動力になっているということです。これについては最終回にまとめてみたいと思います。

米国のオーケストラの寄付金集めの手法を紹介する前に、全体像を把握するため、その予算規模と寄付金の割合を押さえておきます。為替変動が激しいので大雑把ですが、米国のメジャーオーケストラの年間事業予算は30億円~100億円。この事業予算の30%~40%が寄付金で賄われています。寄付風土のある米国とはいえ驚くほどの金額になります。チケット収入の割合は40%~50%で、これは日本のオーケストラの収入割合と変わりません。ところが予算規模が大きく違います。日本のオーケストラ上位10団体の年間事業予算は9億円~30億円。日米にオーケストラの編成や年間公演数に大きな差がないのにこの事業予算の差はいったい何か。一つには、バックオフィスのスタッフ数の違いにあります(つまり人件費)。いわゆる事務局職員の数が、日本の15人~30人に対し、米国のそれは70人~100人規模です。その中でも際立っているのが、本コラムのテーマであるファンドレイジングを専門とする開発部門(Development Department)の存在です。寄付風土のある米国とはいえ、寝て待っていれば寄付金が集まってくるわけではありません。そこには弛まないファンドレイジング活動の努力と仕掛けがあります。

次回以降、その開発部門がいかにして寄付金集めをしているか紹介していきます。〈次回9月中旬掲載予定〉

プロフィール

髙橋 透 (グランシップ プロデューサー)
1982年4月、神奈川県企業庁入庁。1992年4月、神奈川県民ホール。2000年4月、県民部文化課神奈川芸術劇場開設準備担当。2010年4月、東京芸術劇場事業企画課長。2014年4月、(公財)東京都歴史文化財団事務局調整担当課長。2015年4月より現職。
1997年度文化庁芸術家在外研修員(アートマネージメント分野)。

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