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第5回 ファンドレイジングから見えること その2

更新日時2015.09.17

前回コラムで触れたファンドレイジングを担う開発部門は、管理総務部門、財務部門、マーケティング・PR部門と並ぶいわゆる事務局組織の一つで、10人前後の専門スタッフで組織されています。個人寄付担当、政府助成担当、企業助成担当など資金調達先ごとに専門スタッフが配置され、理事会に設けられた資金調達専門委員会とともに調達活動の実務を担っていきます。では、彼らはどんな仕事をしているのでしょうか。ただ漠然とお金がないから支援して下さいとお願いに回っているわけではありません。

まず戦略を練ります。資金調達の目的を明確にし、目標額を設定し、戦略的に計画を立てます。目標額がスタッフのモチベーションになるのは言うまでもありませんが、今いくら調達済で、あといくら不足しているかということが明確になった方が支援者にとっても分かりやすいと言えます。最近注目されているクラウドファンディングも目標額が設定されている場合が多いのではないでしょうか。

資金調達活動の種類は大きく分けてアニュアルファンドと特定の目的のためのファンドレイジングに大別されます。前者は年間経費に充当するなど使途が特定されない一番使い勝手のいい寄付金であり、小口から大口まで幅広く調達活動を行ないます。後者の例としては、基金の積み増しのため、レコーディングのため、海外ツアーのため、サマーコンサートのため、施設の改修のため、といった特定の目的のための資金調達キャンペーンです。

次いで、資金元(個人、企業、財団、政府)ごとに、目的、目標額に応じた活動計画を作成します。アニュアルファンドであれば、1,500ドルの個人寄付者を何十人、1,000ドル以上の個人寄付者を何百人、100ドル以上の個人寄付者を何千人といったようなピラミッド型の調達計画を立てます。海外ツアーに対する資金調達であれば、そうした助成プログラムを持つ助成財団に何万ドル申請するというように、目的、目標額に応じた資金元の割り振りを作成します。支援者探しについては、公表されている資産データ、他団体への寄付状況、新聞記事などあらゆる情報から収集して、可能性のある潜在的寄付者をリストアップします。組織内の誰がアクセスしやすいかなども重要なポイントとなります。

必要なツールとして公演活動報告とともに財務状況が分かる監査済のアニュアルレポートを準備して、ディスクローズ(情報公開)とアカウンタビリティ(説明責任)を当然の義務として果たすことも重要になります。また、芸術的価値、経済的波及効果や鑑賞者、イベント参加者の地域的な広がりなど、あらゆる視点から芸術団体の存在価値を示すデータを取り揃え、事業の必要性をアピールする事柄をマニュアル化していきます。

そうした計画を基にいよいよ寄付の依頼が始まります。大口の寄付金は理事が中心となって行います。理事は経営者であると同時に最大の寄付者であり、最強のファンドレイザーと言えます。理事は無報酬です。だからこそ、理事の寄付依頼には説得力があるということになります(寄付をする側からすれば、自分の差し出した寄付金が目の前の依頼者の給料になるのかと思えば寄付意欲は萎えます)。ちなみに理事の殆どはビジネスマンです。大口の寄付者は音楽や芸術への興味というより、社会的ステータスとして、あるいは社交を通じたビジネスチャンスの場として興味を示す場合が多いようです。小口の資金調達については、勧誘DMとテレファンドレイジング(電話による資金調達)により、寄付の獲得を目指すことになります。

次号では、この小口の資金調達活動のノウハウを具体的に紹介していきます。〈次回10月中旬掲載予定〉

プロフィール

髙橋 透 (グランシップ プロデューサー)
1982年4月、神奈川県企業庁入庁。1992年4月、神奈川県民ホール。2000年4月、県民部文化課神奈川芸術劇場開設準備担当。2010年4月、東京芸術劇場事業企画課長。2014年4月、(公財)東京都歴史文化財団事務局調整担当課長。2015年4月より現職。
1997年度文化庁芸術家在外研修員(アートマネージメント分野)。

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