第1回 劇団夢舞'92
更新日時2009.09.01
歌い、踊る。その表現の芯には自分たちの「今」がある。
昔、武道場だったという稽古場は趣があり、それは明治時代、日本研究を深めた小泉八雲をテーマの一つに掲げる劇団にふさわしい器に思えた。ファミリーを構成する団員は20代から幅広く、さまざまな個性からなるハーモニーがこの劇団の持ち味。社会性のあるテーマを通俗的ではなく、「自分たちの今を通して表現すること」を大切にしているという。
ストレートプレイもゼロではないが、ミュージカルを主眼としてきた劇団だけあって、声楽家の大島優美子氏によるレッスンのほか、ダンスレッスンも欠かさない。そして、そうした「努力の成果を喜んでくれるファン」に逆に喜びをもらってもいる。 彼らの舞台は決して尖ったものではない。ある観客の言葉を借りれば「癒し系」。小泉八雲記念館での公演をはじめ、病院や幼稚園でのコンサートなど、地域に目線を向けたしなやかな活動が評価され、今年2月、第22回地域文化活動賞を受賞した。