第8回 島田鹿島踊保存会
更新日時2011.07.15
子が守り、継ぎ、地域で支える。三百余年を生きる神事舞い。
茨城県の鹿島神宮に起源を持つ「鹿島踊」は日本の各地に残るが、そのうち静岡県指定無形民俗文化財「島田鹿島踊」は最も西に伝わる一つとされる。
江戸の初め、島田宿に蔓延した疫病祓いとして奉納したのが始まりで、今では日本三奇祭の一つ「島田大祭」の大きな呼び物にもなっている。太鼓や草笛、手びらによる典雅な奏楽、色鮮やかな装束とともに見せる壮厳な舞いは、いかにも神事らしい趣。隊列を組んだ三番叟、お鏡、鼓、ささらの役が、それぞれ異なる型の踊りを同時に踊り、しかも後ろ向きに進むなど、珍しい要素を多々含んでいる。
三番叟やお鏡は中高生が、ささらや鼓は小童が務めるのが決まり。すなわち子供たちが踊りを担い、それらを経験した大人たちが次代に伝え守る。そうした経緯はまさに伝承芸能の本道。地域をあげた取り組みが評価され、昨年度は静岡県地域文化活動賞を受賞している。