第9回 静岡木遣保存会・東嘉会
更新日時2011.10.17
息を合わせ、粋を伝える。静岡の神事、慶事に木遣あり。
新門辰五郎といえば、ドラマ「JIN」にも登場した江戸の侠客にして火消しの頭。
その配下で木遣師として活躍した中井東太郎と、昭和の木遣名人で知られる渡辺嘉吉。その二人の師から一文字ずつ戴いた「東嘉会」は、発足から半世紀、今や静岡の神事、慶事に欠かせない存在だ。
木遣とは木遣歌のことで読んで字の如し。神社造営の神木など、木材を大勢で運ぶ際、皆で息を合わせるための労働歌で、もともとは即興の詩をつけて歌われたものだという。
東嘉会が受け継ぐ木遣には大別して3種あり、一つは上棟で大工たちが歌う木遣。もう一つが静岡浅間神社の祭りで歌われる廿日会祭木遣。そして、徳川慶喜の身辺警護で同行した新門辰五郎が伝えた浅草木遣である。これら正統木遣を次代に伝えるため、毎月の稽古は欠かさない。
立ち纏を先頭に練り歩く姿、朗々とした歌の響き。それらはまさに日本の粋そのものである。