第10回 小泉八雲顕彰会
更新日時2011.12.27
八雲が愛した風土とともに敬愛の心で紡いでいく。
小泉八雲が焼津を訪れたのは、日本に帰化した翌年。アイルランド人ラフカディオ・ハーンではなく、日本人として眺めた焼津の海が取り持った縁、それが今なお続いている。
さすらいの作家、小泉八雲の魅力については、世界中の文学者が研究を重ねるところだが、その一つに説話や伝承などの編み直しの妙がある。昔話に材を求めながら、独特の感性と巧みな語り口によって蘇生・再生された物語は実に多い。
そして、それと同じような仕事をこの団体に見ることもできる。八雲の足跡を辿り、彼の目線で風土を慈しみ、彼の言葉を追いながら、守り伝えていく。八雲という財産を今に生きる会員たちが愛し、それぞれ感性で伝えていくという行為にも、やはり編み直しの妙味を感じずにはいられないのである。
命日前後に開かれる「八雲忌講習会」には、八雲ゆかりの各地から多くの参加者があるという。そうしたしなやかな交流のあり方もまた八雲らしいところだ。