第15回 三島ゆうすい会
更新日時2013.04.02
渾々と湧き出る水の都へ澱みない活動は続く。
三島の水は特別だ。長い時間をかけて富士山から辿り着く、霊峰からの「いただきもの」なのである。雪解け水は岩や砂にろ過された後、清廉な水となって湧き出す。「この水が一度沈み、湧き上がるところに価値がある。人間の思想も同じだ」と、会の立ち上げに尽力し、名誉顧問を務める詩人・大岡信氏はいう。
「渾々」とは水が尽きることなく湧く様子を表す言葉だが、日本の成長と引き換えに、気づけば三島の水は枯渇化に向かっていた。そこで立ち上がったのが本会である。願うは、湧水の復活と水の町づくり。節水や流域の清掃活動、勉強会、市民参加のイベントをはじめ、市民・行政・企業が連携した源兵衛川のせせらぎ再生に向けた取り組みなど、発足から二十数年、水を中心とした多面的な活動をこまやかに展開している。
水の復元は、町の復元、故郷を思う心の復元にもつながる。三島の水のごとく、一度沈んだ人々の心をわき立たせ、澱むことなく取り組む会の今後に注目したい。